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良いデザインは正直である——ラムス第6原則
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良いデザインは正直である——ラムス第6原則

ディーター・ラムスの「良いデザインの10原則」第6条——「良いデザインは正直である(Gutes Design ist ehrlich)」。その説明文は短く、しかし鋭い。
「製品を実際より革新的・強力・価値があるように見せない。守れない約束で消費者を操作しようとしない(It does not make a product more innovative, powerful or valuable than it really is. It does not attempt to manipulate the consumer with promises that cannot be kept)」。
これはマーケティング批判ではなく、デザインの造形そのものへの要求です。形・素材・スケール・仕上げのすべてが、ユーザーに対して暗黙の約束を発している——ラムスはそう考えていました。

素材を偽装しないこと

ドイツデザインの伝統に「素材適正(Materialgerechtigkeit)」という概念があります。素材をそのものとして扱い、別のものを装わせないという倫理観です。プラスチックに金属調塗装を施してステンレスのように見せる。安価な繊維板に木目プリントを施して無垢材のように見せる——ラムスが否定するのはこうした「偽装」です。
1956年のSK4フォノグラムは、その逆転の実践でした。ラジオとレコードプレイヤーを一体化したこの機器の蓋を、ラムスは透明アクリルにしました。当時の家電は内部機構を木製キャビネットで覆い隠すのが常識でしたが、ラムスは機構を「見せる」ことを選んだ。批評家は「電気的装置の内部を見せたら消費者に嫌われる」と懸念しましたが、逆にSK4は「シックだ」と評価されました。「隠さない」ことが正直さであり、その正直さが美しさになった事例です。

ギレット買収と「対抗軸」としての10原則

ラムスが10原則を文書化した動機の一つに、1967年のギレット(Gillette)によるブラウン株式取得があったとされています。商業的圧力が高まる中、ラムスは「これが誠実なデザインだ」という対抗軸を作る必要を感じていました。ギレットのロゴを製品の目立つ位置に大きく入れることを強制されたとき、ラムスは常に「目立たない位置・背面・視覚的に溶け込む場所」に置くことを主張したといいます。
1970年代末に「思慮なき消費のための思慮なきデザインの時代は終わった」と宣言したラムス——10原則は時代への抵抗として書かれた文書でもありました。

「守れない約束」をしない素材——ZACKの18/10ステンレス

バスルームアクセサリーの世界には、安価な素材に金属調塗装を施した「ステンレス風」の製品も少なくありません。見た目はステンレスのように輝いても、数年で塗装が剥がれ、下地の劣化が見えてくる。これがラムスの言う「守れない約束」の典型です。
ZACKが使う18/10ステンレス——18%クロム・10%ニッケルの合金——は、表面に塗装やメッキを施すのではなく、素材そのものをヘアライン研磨で仕上げます。輝く表面は「加工された本物のステンレス」の姿そのもの。製造の痕跡を消さずに見せることが、素材の正直さです。「この製品はステンレスである」という約束を、造形が裏切ることがない設計——それが第6条の実践です。
次回は第7条「良いデザインは長持ちする」を読み解きます。

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